葉酸は妊娠してから摂るもの、と思っていませんか?それは大きな誤解です。葉酸は妊娠していない女性にも、また男性にも摂ってほしい栄養素なんです。そして特に妊娠を待ち望んでいる人には妊活中から摂ってほしい栄養素で、妊娠がわかったらスタート…では遅いんです!!妊娠準備中にも積極的に摂りましょう!
今回は妊活中に必要な葉酸についてご紹介します。
この記事の目次
葉酸の名前の由来
葉酸は、1941年にほうれん草から発見された栄養素。そのため、ラテン語の「葉」を意味する「folium」と「酸」を意味する「acid」から、葉酸(folic acid)と名づけられました。葉酸は、その名前と由来から野菜だけに含まれているように思われがちですが、動物性食品である鶏やブタのレバーなどにも多く含まれているって知っていましたか?
葉酸の働き
葉酸はビタミンB群に属する栄養素で、細胞をつくるのに必要なタンパク質を作り出す働きがあります。また赤血球の量を増やすので、別の名を「造血のビタミン」とも呼ばれて、貧血予防におすすめですよ。血の巡りを良くするので体の中は常にあたたかい。血液をサラサラにして全身に血液が行き届くので、手足の冷え対策にもなります。そして全身に血液が行き渡るので、内臓の1つである子宮や卵巣も活性されるんです!またタンパク質の元となるアミノ酸も大量に作り出すのでお肌のターンオーバーを正常なサイクルに戻して、くすみやシワを抑えてキメ細かな素肌作りにも貢献してくれる、女性には嬉しい栄養素なんですよ!
葉酸不足になるとどんな影響がでるの?
体内から葉酸が不足すると、血清中のホモシステインの数値が高くなるので、動脈硬化の引き金になります。なんだか聞くだけでゾクッとします。また、国立精神・神経医療研究センター神経研究所の功刀浩部長らが行った最近の研究では、うつ病の人の4人に1人が血液中の葉酸値が低いという結果が出たそうです。うつ病と葉酸不足が関係あるのは意外です。
また、造血機能の異常から悪性貧血になりやすいです。血が不足するとだるさが抜けなかったり、顔色が悪かったりと違う症状も出てくるんです。特に女性は毎月の生理で血が不足しやすいので、貧血予防もできるのは嬉しいですよね。
このほか、お酒を大量に飲む、頭痛薬のアスピリンや避妊薬のピルを飲んでいる人も葉酸が欠乏しやすいので、十分な摂取を心がけましょう。妊婦や赤ちゃんのためだけでなく、葉酸はすべての人にとって必要な栄養素なのです。
葉酸不足が赤ちゃんに与える影響
では、妊娠中に葉酸不足になるとどんな影響があるのでしょうか?胎児の細胞分裂の活発な妊娠初期(4週~12週)にかけて、先天性の疾患を招く危険があり、特に「二分脊椎(せきつい)症」や「無脳症」などの神経管閉鎖障害の発症リスクが高くなると言われていて、日本でも平成12年から厚生労働省が、妊娠の可能性のある女性に対して葉酸の摂取を推奨しています。
十分な量の葉酸を妊娠前から摂取することで予防できるので、妊娠してからではなく妊活中から摂りたい栄養素です。でも妊娠初期の4週目って本来なら次の生理予定日を示します。市販の妊娠検査薬でも生理予定日の約1週間後から検査可能と記載しているので、なかなか自分では妊娠に気づかない時期なんです。
また葉酸は妊活女性だけでなく妊活男性にも葉酸は必要な栄養素なんです。詳しくは葉酸は妊活女性だけのものじゃない! ~妊活男性にも必要な葉酸~をご覧ください。なぜ男性にも葉酸が必要なのか?葉酸が不足するとどうなるのか?をご紹介しています。
いつ摂ればいいの?どのくらい摂ればいいの?
妊娠前から摂取していると神経管閉鎖障害の発症リスクを70~80%減らせると言われている葉酸。厚生労働省は妊娠の可能性のある女性に対して、食事から摂取する葉酸に加えてサプリメントなどで追加的に400㎍(マイクログラム)摂取することを推奨しています。また、厚生労働省は上限摂取量は1日1000㎍(マイクログラム)としています。サプリメントは手軽に栄養を摂れるメリットがありますが、葉酸の過剰摂取には注意しましょう。
ただし、誤解されている方が多いのですが、厚生労働省がサプリメントなどでの追加摂取を推奨しているのは「妊娠してから」ではなく、あくまで「妊娠の一ヶ月以上前~妊娠3ヶ月までの間」です。これは神経管などが形成される期間が「受精~妊娠3ヶ月」の期間であるためです。
でも、いつ妊娠するかなんてわからないですよね?
だからこそ、赤ちゃんを迎える妊活中には準備として飲んでいたほうがいいんです。
また、サプリメントとして摂取する葉酸は、食物に含まれるポリグルタミン酸型葉酸ではなく、より吸収されやすいモノグルタミン酸型葉酸を厚生労働省は推奨しています。食事として摂取されたポリグルタミン酸型葉酸は亜鉛や酵素の働きでモノグルタミン酸型葉酸に分解されます。食品から摂取したポリグルタミン酸がどの程度の割合で体内で利用されるかまだ良くわかっていないため、体内での利用効率が明確になっているモノグルタミン酸型葉酸として400μgを摂取することが推奨されています。
一部の研究では妊娠中期以降のサプリメントによる葉酸の摂取が産まれてくる小児喘息の原因になっているという因果関係が示唆されています。
特定非営利活動法人 医療教育研究所遠藤前理事長による「葉酸摂取と小児喘息」に関する解説
https://www.ime.or.jp/zakki/zakki029.html
葉酸が多く含まれている食品と含有量
葉酸を多く含む野菜
葉酸はその名のとおり、様々な葉野菜に含まれています。ここではその中でも含有量の多い食品をご紹介します。以下に記載する葉酸の量は100gあたりの量なので参考にしてくださいね。
枝豆
葉酸の多い食品のひとつです。ゆでた状態でも260㎍(マイクログラム)が含まれるので、間食にもぴったりです。食物繊維もとれるので、おなかをすっきりさせたいときにもおすすめの食品ですね。
ほうれん草
葉酸の名前の由来にもなったほうれん草は210㎍(マイクログラム)が含まれています。鉄分などの栄養素も豊富なので、積極的に取り入れてほしい食品です。定番のおひたしは、茹でると葉酸の量が110㎍(マイクログラム)まで落ちてしまいます。効果的に摂取したい時は、スープやみそ汁の最後にさっと加えるのがおすすめです。熱で葉酸の量が減るのを防ぐだけでなく、水分に溶けだした葉酸も捨てることなく飲むことができます。
アスパラガス
生の状態で190㎍(マイクログラム)の葉酸を含むアスパラガスは、加熱してもほとんど葉酸の量が減らないのが魅力的です。茹ででも180㎍(マイクログラム)も摂取することができます。しかも、油炒めの場合は220㎍(マイクログラム)にアップするので、炒め物やベーコン巻きにしておいしく取り入れたいですね。
サニーレタス
生野菜のまま手軽に葉酸を摂りたいときにレタスがおすすめです。中でもサニーレタスは含有量が多く、120㎍(マイクログラム)あります。加熱せずに食べられるので、葉酸の量を減らすことなく摂ることができますよ。ただし、洗う時には葉酸が水に流れ出ないように、さっと洗い流すだけにしましょう。
葉酸を多く含む果実
葉酸は果実にも多く含まれています。夏バテや食欲がない時でも食べやすいので、普段の食生活に上手に取り入れてくださいね。
いちご
葉酸が豊富で身近な果実といれば、いちごです。90㎍(マイクログラム)が含まれていてビタミンCやカリウムが豊富で、むくみにも効果的です。
ライチ
葉酸の含有量は100㎍(マイクログラム)もあり果実の中ではトップクラス!ビタミンCもたっぷり摂れるので、美容やストレスが気になる人にもおすすめです。ただし、国産は6-7月、輸入品は4-8月と期間は限られています。
アボカド
野菜と思われがちですが、実は果実類に含まれるアボカド。脂質やビタミンB2、ビタミンEなどを含んでいて栄養豊富な食品です。葉酸も84㎍(マイクログラム)含まれています。旬も10-3月と長いので手に入りやすい食品ですね。
葉酸を多く含む肉類
葉酸を多く含む食品として注目したいのがレバー!肉類の中でも群を抜いて多くの葉酸を摂取することができます。鶏、豚、牛とどれを選んでも豊富に含んでいるので、葉酸不足が気になるときにぴったりな食品です。
鶏レバー
1300㎍(マイクログラム)もの葉酸を含む鶏レバー。また脂溶性のビタミンAも14000㎍(マイクログラム)と多く含まれています。ただし胎児の先天性異常の原因となる可能性があるので、妊娠初期のビタミンAの過剰摂取には注意が必要となりますが、鉄分も豊富なので摂取量をコントロールして上手に調理をしましょう。
豚レバー
豚レバーには810㎍(マイクログラム)の葉酸が含まれています。こちらもビタミンAが13000㎍(マイクログラム)となっているので、食べ方には注意しましょう。
牛レバー
牛レバーも鶏レバーの次に葉酸が豊富で1000㎍(マイクログラム)摂ることができますが、やはりビタミンAも1100㎍(マイクログラム)も含んでいるので、他のレバーと同じように食べ方には注意しましょう。
葉酸を多く含むその他の食品
葉酸を含む食品は他にもあります。特に含有量の多いものをピックアップしてみました。
納豆
納豆には葉酸が110~120㎍(マイクログラム)含まれていて加工せずにそのままで食べられるので、葉酸の量も減ることなく摂れます。納豆キナーゼが血液をサラサラにしてくれるので、高血圧の予防にもなります。
きな粉
きな粉には220㎍(マイクログラム)の葉酸を含んでいます。定番のだんごやお餅と一緒に食べるのもいいですが、ヨーグルトにかけて食べるのも大腸を掃除してくれるのでおすすめです。
焼きのり
焼きのりには1900㎍(マイクログラム)の葉酸が含まれていますが、焼きのりで100gも消費するのはなかなか難しいもの。ご飯のお供、刻んでサラダのトッピングに、おかずを巻いて手巻きにと、オリジナルレシピで積極的に摂りましょう。
葉酸は妊活中から始めましょう
いかがでしたか?妊娠中の女性だけでなく、老若男女問わず摂ってほしい葉酸。でも一番必要な時期は妊活中からしっかり摂るということを知ってほしくて発信しました。「葉酸が大事なんだ」と気づいた時から食事やサプリで、あなたなりの葉酸の摂り方を見つけてみてください。