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冷えの症状。思い当たることはありますか?
女性の体の不調。冷えが原因になっていることが多くあります。一説によると、女性の半数以上は「冷え」に悩まされていると言われています。
あなたは次の症状で思い当たることはありますか?
- 寝るときは靴下が欠かせない
- お風呂からあがってすぐに体が冷えてくる
- 夏でも指先が冷たい
思い当たる人は冷え性タイプかもしれません。
さらにこれらに当てはまり、生理不順で数ヶ月来ない時がある人は冷え性が原因で不妊症になっている可能性もあります。
これらの症状の改善に漢方を利用してみてはいかがでしょうか?
漢方でとらえる「冷え」とは
もともと西洋医学では「冷え」は、それほど重要視されていません。いわゆる「冷え性」は性質・体質の一種ととらえられ、何か別の病気が原因であることなどが検査によって明らかにならない限り、治療の対象ではありません。一方漢方では、「冷え性」そのものを体の不調の重要なサインとして捉え、治療の対象としています。
サプリメントや生活習慣・食事対策などで温活を行い改善している方も多くいますが、それでも効果が見られない場合は漢方を試してみるのがおすすめです。西洋医学に比べて漢方のほうが「冷え」に対しては長い歴史と経験があります。
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漢方では、不妊の主要な原因として「冷え」をあげます。特に気血水のうち血のめぐりが悪くなっている状態を指す「瘀血(おけつ)」は、月経の経血量が多くなったり、長引いたり、生理痛が起こったりすることで、不妊につながると言われています。
これらの状態を改善し、子宮や卵巣を新しい命を育むための最適な状態に持っていくことを漢方では重視しています。漢方外来や漢方調剤薬局などでは、それぞれの体質に合わせて最適な漢方を処方してくれます。
不妊の原因として考えられるものは、冷え性だけでなく、胃腸障害やストレスなど様々な因子が関連しています。漢方では、これらの諸問題を改善していくために、様々な漢方処方を組み合わせてアプローチしていきます。しかし、近年従来の漢方薬の効果効能を臨床学的なアプローチで科学的に明らかにする動きが見られ、「当帰芍薬散」「桂枝茯苓丸」などでは排卵障害や黄体機能不全などに有効なことがわかっており、体質改善にアプローチする従来の手法に加えて、不妊の直接的な原因を治癒していくことも行われています。
冷えを伴う女性の不調には「当帰芍薬散」
漢方では、同じ症状を対象にしたものであっても、体質などにより使われる漢方が異なる場合があります。例えば、婦人科系の諸症状に処方される代表的な漢方である「当帰芍薬散」では、「冷え性」や貧血の傾向がある人を対象にしています。
冷え性で悩む人は女性の半数以上と言われていますが、妊娠可能な世代に限定するともっと多いかもしれません。実際みなさんの周りでも妊娠可能年齢の方は、その殆どが冷え性で悩んでいませんか?
「当帰芍薬散」が冷え性を伴う不妊症で、まず第一に処方されるオールマイティーな漢方薬と言われる所以はここにあります。ほとんどの女性が当てはまる冷え性を伴う婦人科系の悩み(具体的には月経不順、月経異常、月経痛)産前産後の障害(貧血・疲労倦怠・めまい・むくみ)、めまい・立ちくらみ、冷え性そのものなどに効果が期待できます。
当帰芍薬散には当帰(トウキ)、川キュウ(センキュウ)、芍薬(シャクヤク)、蒼朮(ソウジュツ)、沢瀉(タクシャ)、茯苓(ブクリョウ)という6つの生薬を組みあせて出来ています。漢方薬は、生薬の組み合わせで効果を発揮するため、それぞれの生薬の効果と組み合わせの結果としてできた漢方薬の効果がイコールではありませんが、関連もしますので、ここでは各生薬についてご説明していきます。
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「当帰芍薬散」に用いられる生薬
当帰(トウキ)とは
【原料】
セリ科のトウキまたはその近縁植物の根を湯通しし乾燥させたものを用います。
【産地】
中国、朝鮮半島、日本(北海道、群馬県、奈良県、和歌山県)
【効果】
血の働きを調和し、循環を促す働きがあります。また、月経不順や月経困難、冷え性や産前産後の障害、貧血などにも効果があります。
【用いられる漢方薬】
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 当帰散(とうきさん)
- 当帰湯(とうきとう)
- 当帰建中湯(とうきけんちゅうとう)
- 当帰四逆湯(とうきしぎゃくとう)
- 当帰養血湯(とうきようけつとう)
など
川キュウ(センキュウ)
【原料】
セリ科のセンキョウの根茎。通常は湯通しし乾燥させたものを用います。
【産地】
中国、日本(北海道、岩手県)
【効果】
血行を促して、血液の流れを活発にします。冷え症や貧血症、産前産後の障害、皮膚疾患や手足の筋肉のひきつりなどに用います。
【用いられる漢方】
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 芎帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)
- 温清飲(うんせいいん)
- 当帰散(とうきさん)
- 十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)
- 川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)
など
芍薬(シャクヤク)
【原料】
ボタン科のシャクヤクの根。赤や白のボタンに似た大きな花が咲きます。
【産地】
中国東北部、朝鮮半島などに自生。国内では北海道、奈良県、群馬県、富山県などで栽培されています。
【効果】
主に筋肉が固くなって引きつるものを治します。婦人科系では生理不順、月経異常、冷え症、貧血症、血の道症、産前産後の障害などに用いられます。
【用いられる漢方】
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 加味逍遥散(かみしょうようさん)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 桂枝湯(けいしとう)
- 黄芩湯(おうごんとう)
- 桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)
など
蒼朮(ソウジュツ)
【原料】
キク科のホソバオケラまたはその変種の根茎です。
【産地】
中国、日本など
【効果】
主に水分の代謝以上を治します。下痢や頻尿・多尿の他、妊娠中のむくみや貧血症などにも用いられます。
【用いられる漢方】
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)
- 四君子湯(しくんしとう)
- 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
- 人参湯(にんじんとう)
など
沢瀉(タクシャ)
【原料】
オモダカ科のサジオモダカの塊茎を用います。通常、周りの皮を除いたものを用います。
【産地】
世界各地で生産されています。
【効果】
水分代謝を調節し、不要な水分を輩出する働きがあります。小便が出にくい場合など用いられますが、婦人科系の場合は冷え症、むくみ、生理不順などで用いられます。
【用いられる漢方】
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 沢瀉散(たくしゃさん)
- 八味地黄丸(はちみじおうがん)
- 茯苓沢瀉湯(ぶくりょうたくしゃとう)
- 沢瀉湯(たくしゃとう)
など
茯苓(ブクリョウ)
【原料】
サルノコシカケ科のマツホド菌。通常、外層を取り除いた菌核を乾燥して用いる。
【産地】
中国。日本でも一部で収穫される。特に婦人科ではのぼせを伴う手足の冷え症、生理不順・生理痛などに効果がある。
【効果】
利尿作用があり、筋肉の収斂、動悸などにも効果がある。
【用いられる漢方】
- 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
- 苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
- 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
- 防己茯苓湯(ぼういぶくりょうとう)
- 茯苓沢瀉湯(ぶくりょうたくしゃとう)
- 四君子湯(しくんしとう)
など
婦人科系のオールラウンドプレイヤー「当帰芍薬散」
いかがでしたか?どの生薬も、婦人科系の悩みに深く関係していますよね。
妊活中でサプリメントや温活習慣でなかなか冷え性が改善しないでお悩みの方は、一度試してみてはいかがでしょうか?