漢方で冷え性を改善しましょう! ~あなたの体質に合う漢方薬~

あなたは冷え性ですか?養命酒製造株式会社が2013年に「冷え性に関する実態調査」を行った結果、78%の女性が冷えに悩んでいるという結果でした。冷え性に悩む女性は年々増加の傾向にあります。

冷え症は多くの女性の悩みのひとつ。

とくに体の中心(心臓)から離れた指先や、腰が冷えると訴える場合が多いようです。女性の場合は、食生活や月経の影響で貧血気味の人が多いことと、女性ホルモンの乱れから自律神経がバランスを崩しやすいことから、冷えが起きやすいと考えられています。

漢方薬での冷え性の治療

頭痛、鼻炎など悪い部分だけを治す西洋医学と違って、東洋医学である漢方体全体の働きを良くすることで、悪い症状を抑えていくことを目的とする治療方法となります。漢方治療からみると、全身の働きを良くすることで症状が治まる冷え性の治療は、得意とするところなんです。

冷え性を改善する漢方薬というのも多種多様で、どれを飲んでいいか分からないと悩んでいる方もいるのではないでしょうか?ここでは、あなたの体質を理解して、あなたに合った漢方薬のご紹介をしています。

漢方では、体を支えている三本柱「気血水」があり、このバランスが乱れると病気や不調の原因になると考えられています。漢方では症状を改善する前に体質を確認することがとても大切です!冷えと一言で言っても様々なタイプがあります。あなたの体質が「気血水」のどのタイプかを知ることは大事なこと。まずはあなたの冷えのタイプを確認してみましょう。

あなたはどのタイプの冷え性?はこちら

漢方は誰にでも同じように効くのではなく、その人の体質によって使い分けることが大切です。まずは冷えのタイプをチェックして、あなたの体質を理解しましょう。

 

気虚タイプの冷え性

あなたの体質は「気」エネルギー不足からくる冷えです。

「気」とは、「気持ち」「気力」という言葉にもあるように、目には見えないからだのエネルギーとなるものです。この「気」が満ち溢れていると、「やる気」「元気」といった前向きなエネルギーが生まれますが、逆にこの「気」が足りなかったり、弱ったりすると「病気」「嫌気」など、「気」のエネルギー不足で体の不調が現れてくるんです。

あなたの体質は「気」が足りなくなって働きが低下して、エネルギーが足りないことから冷える疲れやすい気虚タイプの冷え性です。

気虚タイプの冷えにおすすめの漢方薬

▶人参湯(にんじんとう)
人参は古来から良く使われる漢方で胃腸を元気にする作用があります。人参湯は生薬の人参が主な成分であり、胃腸を元気にしながら冷えを改して温める作用のある漢方です。特に冷えからくる下痢や腹痛、疲れがあって、胃腸が弱い方やヤセ型のタイプに適しています。
また胃腸を元気にするので、食欲不振、胃もたれ、吐き気、胃もたれにも効果があります。

▶十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)
疲れやすくて冷える、生理になると疲労感がひどい、過労ぎみ、体力がないなどの冷えタイプの方へ。倦怠感がひどく、食欲がわかないときに適しています。血流をスムーズにして、を温め手足の冷えや貧血、生理不順などを和らげたり、疲労感を和らげます。

▶大防風湯(だいぼうふうとう)
体力が低下している人で、顔色が悪く、体がこわばって動かしにくいタイプに適しています。神経痛、関節の腫れ・痛み、食欲不振や貧血といった症状やエネルギーが不足した状態を改善して体を温めます

▶補中益気湯(ほちゅうえっきっとう)
体に不足した気を補って、体を立て直す働きのある漢方です。病中病後の体力低下時にも使います。胃腸の働きを高める働きもあるため、エネルギーが全身に巡ることで冷えを改善します。食が細くてエネルギーが足りない女性におすすめです。

 

血虚タイプの冷え性

あなたの体質は「血」エネルギー不足からくる冷えです。

「血」とは血液そのものと、血液と一緒に体に必要な栄養や酸素を運ぶものすべてを「血」と呼んでいます。「血」の巡りがいい人は、普段から体がポカポカとしています。でも女性は毎月の生理で血液を失うため血液不足になりがち。

あなたの体質は「血」が足りなくなって働きが低下して、エネルギーが足りずに血が全身を巡らずに冷える血虚タイプの冷え性です。

血虚タイプの冷えにおすすめの漢方薬

▶当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)
気の流れを良くして、血の巡りを良くする作用があります。手足の冷えがとりわけ強い人が適応になります。手足の冷えと、これに伴う腹痛、頭痛、手足の痛みなどを改善します。生薬の1つ呉茱萸はミカンの仲間で、体を強力に温めてくれる生薬ですが、飲みにくいことで有名です。ところが、冷えの強い人だけは抵抗なく飲めてしまう不思議な漢方薬です。
冷えからくる頭痛や腰の痛み、下腹部痛などの痛みの改善や、多くの冷えは手足の先が白くなるものの、しもやけのように「赤く冷える」人に最も効果のある漢方です。

▶十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)
疲れやすくて冷える、生理になると疲労感がひどい、疲れやすい、体力がないなどの冷えタイプに適しています。血の巡りを良くして、からだを温め、手足の冷えや貧血、生理不順などを和らげたり、疲労感、食欲不振の改善に役立ちます。
最近では、男性の冷え性も増えてきています。男性の冷え性の主な症状は「内蔵型冷え性」と言われる手足の指先が冷たくなる症状です。

「内蔵型冷え性」についてはこちら

▶大防風湯(だいぼうふうとう)
めまい、立ちくらみ、目の疲れがあって、手足の末端が冷えるタイプに適しています。顔色や爪にツヤがなく、動悸があって、なかなか寝付けなく、生理時の経血量が少なめか閉経の症状に。気と血を補い、手足の指先まで血の巡りを良くして冷えを治します

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
手足が冷えて、顔色が悪い方、生理不順に悩んでいる方、生理前のイライラや不安感がある冷え性の方に適しています。血行の悪い全身に栄養を巡らせて、血の不足を補い血行を良くする作用があるので、貧血を伴う冷え性におすすめです。また水分代謝の改善にいいということで、体内の余計な水分をとって水分を調整するのでむくみ冷えを解消します。またホルモンや自律神経のバランスを整える働きも期待できます。生理痛や生理不順などの改善にも効果があります。婦人科三大処方の1つです。

 

水滞タイプの冷え性

あなたの体質は「水」循環不足からくる冷えです。

「水」とは、血液以外の体の中の水分(胃液、唾液、リンパ液など)です。この水が不足すると肌が乾燥カサカサしてシワになりやすく、多いとむくみの原因になります。

あなたの体質は、水の巡りが悪くて水分がたまってむくむタイプです。たまった水分で体が冷えるので、またむくむといった、冷えとむくみのスパイラル状態の水滞タイプの冷え性です。

水滞タイプの冷えにおすすめの漢方薬

▶真武湯(しんぶとう)
全身が冷えて、疲れやすかったり、体が重くだるかったり、体がむくんでいる場合に適しています。熱エネルギーが不足して水分が体に溜まっている状態なので、体内はたまった水分で冷たく、余分な水分が体に溜まれば溜まるほど、冷え性がひどくなってしまうのです。体内が冷たくなっているので、下痢になりやすく、むくみがある部分を手で触ると、ひんやり冷たくなっているので、体を温めて熱を産み出せる体に改善しつつ、たまった水分を尿として排出するのに効果的です。また冷えからくる下痢にも適しています。

▶桂枝加朮附湯 (けいしかじゅつぶとう)
体力がなく、水分を摂っている量に対して尿が少なく、手足が冷えてこわばっている冷えに効果があります。寒い日や冷房が効いている場所などで痛みを感じたり、お風呂に入ると痛みが楽になるという方に適しています。また熱を作って冷えを追い出すことで体を温めて神経痛や関節の腫れや痛みの改善をするだけでなく、しびれや、暑さに関係なく自然に汗が出てくる症状にも効果があります。

▶苓姜朮甘湯(りょうきょうじゅつかんとう)
腰や足が冷えていて、腰痛や足のむくみが気になる場合には、体の中心部ではなく皮膚の表面に近い部分(皮下組織や筋肉)に水分が停滞しているかもしれません。これは湿気の多い日本に暮らしていると陥りやすい症状です。梅雨の時期にからだが重だるく感じるのはこれが原因の1つです。体を温めることで、足腰の痛みをとる効果があります。同時にむくみの原因である体にたまった水分の代謝を調整して、体外に排出する手助けをする効果があります。

 

瘀血タイプの冷え性

あなたの体質は「血」循環不足からくる冷えです。

エネルギーをつくる力はあっても、体がコチコチに固くなっているために、血の巡りが滞って隅々までエネルギーや「血」が巡ることができなくなっている状態です。そしてエネルギーである「気」が余り、その「気」が上半身に上って熱に変わり、下半身は巡りの悪さから冷えてしまう、瘀血タイプの下半身冷え性です。

瘀血タイプの冷えにおすすめの漢方薬

▶当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
手足が冷えて、顔色が悪い方、生理不順に悩んでいる方、生理前のイライラや不安感がある冷え性の方に適しています。血行の悪い全身に栄養を巡らせて、血の不足を補い血行を良くする作用があるので、貧血を伴う冷え性におすすめです。また水分代謝の改善にいいということで、体内の余計な水分をとって水分を調整するのでむくみ冷えを解消します。またホルモンや自律神経のバランスを整える働きも期待できます。生理痛や生理不順などの改善にも効果があります。婦人科三大処方の1つです。

▶桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
体格は比較的がっちりしていて、生理前や生理の最初の数日間に調子が悪くなったり、しみやあざができやすい人や、足が冷えて頭はのぼせる「冷えのぼせ」タイプに適しています。のぼせとは、顔が熱くなり、頭がぼうっとすることです。のぼせやすい人は浴槽に長く浸かっていられません。お湯に入っていると、めまいなど気分が悪くなりやすい傾向があります。滞った血の巡りを良くして下半身の冷えを改善するので、肌荒れなどの肌トラブルの改善にも効果的です。月経痛や月経不順、便秘がちな方にもおすすめです。女性特有のトラブルによく使用される、婦人科三大処方の1つです。

▶加味逍遙散(かみしょうようさん)
生理周期が乱れがちで、生理の1週間ほど前から冷えが強くなる傾向があるタイプに適しています。のぼせ、疲れやすくイライラ感が強い人、月経不順や更年期の方の冷えにおすすめです。心が落ち着き、緊張からくる肩こりなども比較的短期間に解消できます。こちらも婦人科三大処方の1つです。

 

気滞タイプの冷え性

あなたの体質は「気」循環不足からくる冷えです。

エネルギーである「気」が作られているのに、スムーズに流れない状態なので、「気」が頭にたまってイライラしやすい傾向です。また「水」や「血」の巡りも悪く、新陳代謝が悪くなったり、自律神経が乱れたりして余計に「気」の流れを止めてしまいます。

あなたの体質は「気」がうまく流れずためこんでしまうことで、頭に熱を送りイライラしやすくなる気滞タイプの冷え性です。

気滞タイプの冷えにおすすめの漢方薬

▶加味逍遙散(かみしょうようさん)
エネルギーをつくっても、全身に届けることができなくて、気が同じ場所に滞っている状態です。滞っている気が、上半身に上って熱に変わることで不調となる状態に適しています。のぼせ、疲れやすくイライラ感が強い人、月経不順や更年期の方の冷えにおすすめです。気の巡りが良くなることで心が落ち着き、緊張からくる肩こりなども比較的短期間に解消できます。こちらも婦人科三大処方の1つです。

▶柴胡加竜骨牡蠣湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)
仕事や人づきあいなどでイライラし、思い悩んだり、テストや試験前などに緊張して眠れない場合など気持ちが不安定、また些細なことが気になる、眠れないなどの症状があるときに用いられます。精神不安からくる動悸、不眠、便秘などに適しています。ストレスによる冷えにも効果的で、気の巡りを良くして、体内にたまった熱を冷まし、心を落ち着かせる漢方です。

▶半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)
ストレスによる冷えが最近増え始めています。働く女性に多く、ストレス発散がうまくできないことから自律神経のバランスが乱れることによって、身体全体が冷えてしまうと考えられます。滞っている気の流れをスムーズにして、緊張で強ばった神経をほぐす作用もあります。

 

気逆タイプの冷え性

あなたの体質は「気」逆流からくる冷えです。

気逆とは、「気」の流れが逆流し、下降するはずの「気」が上に逆流する状態です。気逆の主症状としては、のぼせ、頭痛、めまい、動悸、激しい咳、吐気や嘔吐、ゲップなどが挙げられます。

あなたの体質は「気」が逆流することによって頭に熱がこもり、上半身はのぼせているのに下半身は冷えてしまう気逆タイプののぼせ冷え性です。

 

気逆タイプの冷えにおすすめの漢方薬

▶桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
体格は比較的がっちりしていて、生理前や生理の最初の数日間に調子が悪くなったり、しみやあざができやすい人や、足が冷えて頭はのぼせる「冷えのぼせ」タイプに適しています。のぼせとは、顔が熱くなり、頭がぼうっとすることです。のぼせやすい人は浴槽に長く浸かっていられません。お湯に入っていると、めまいなど気分が悪くなりやすい傾向があります。滞った血の巡りを良くして下半身の冷えを改善するので、肌荒れなどの肌トラブルの改善にも効果的です。月経痛や月経不順、便秘がちな方にもおすすめです。女性特有のトラブルによく使用される、婦人科三大処方の1つです。

▶加味逍遙散(かみしょうようさん)
気逆といわれる症状がある方に用いる漢方です。血の巡りが滞っているために気が余り、その気が上半身に上って熱に変わるので、上半身はのぼせていて、下半身は冷えに悩んでいる状態に効果があります。のぼせ、疲れやすくイライラしやすい人、月経不順や更年期の方の冷えにおすすめです。こちらも婦人科三大処方の1つです。

 

冷えのタイプで漢方薬も変わってきます

冷えといっても様々な症状があります。また症状としては同じものでも、原因や体質によって漢方薬が異なるので、自分の体質や冷えの症状に合わせて対処することが大切です。

冷え性の漢方薬は、病院はもちろん最近ではドラッグストアでも豊富に取り扱っているお店は多いです。漢方薬の中にはすぐに効果が現れにくいという特徴もあるため、しばらく続けてみて、体に合っているかどうか判断しましょう。

一児の母。医薬品販売に長く従事しており、医薬品に限らず美容と健康に関する情報を日々収集している。自身の経験も参考にし、妊活に関する情報も発信している。

2010年 医薬品登録販売者 資格取得

ミモザ製薬株式会社 管理登録販売者