妊娠を望んでいる人の多くは、基礎体温をつけタイミング法を試し、それでも妊娠が望めないと医療機関に受診し、不妊治療を始めるという流れがほとんではないでしょうか?
でも不妊治療と聞いて、高額な医療費と多くの検査を想像して抵抗感をもっている方も少なくはありません。
今回は、医療機関を受診する前に、また医療機関を受診している方でなかなか妊娠が望めない方に「漢方薬」のご紹介をしたいと思います。
この記事の目次
東洋医学の漢方薬と西洋薬の違い
まず、東洋医学の漢方薬と西洋薬の違いをご説明しましょう。東洋医学と西洋医学の違いは、治し方にあります。
例えば動かなくなった自動車があります。原因はタイヤを固定するネジが取れてしまったから。ネジをはめると、タイヤは外れることなく自動車も走ることができました。
西洋医学の場合は、そのネジをはめて動き出せば完了、壊れた部分だけを修理すれば完治という考えになります。
東洋医学、漢方の考えは、なぜネジが外れたか理由を考えます。ネジは自動車全体の振動が大きくて、その影響で外れた可能性があります。そうなると、またネジをはめてもまた外れてしまう可能性がありますよね。なので振動を抑えることを考えます。東洋医学では、自動車を安定させて振動を抑えることにより、ネジが外れにくくなることで治ったと考えます。即効性を求めて対処する西洋薬と、原因まで追求して体質改善をする漢方薬と、大きい違いはそこにあります。
どちらにも利点があるので、ライフスタイルに合わせて選んでいくことが大切ですね。
東洋医学の漢方薬
では、ここで漢方薬について少しご説明したいと思います。漢方では「気・血・水」の身体を支える三本柱で構成していると考えられています。
「気」とは元気の「気」、「血」とは血液の「血」、「水」とは体内の水分の「水」で、体内をバランスよく巡って健康を保っているので、その流れが乱れたり逆流したりすると様々な不調が現れる。そこを漢方の力で整えていきます。
聖路加国際病院 人間ドッグ科部長・血液内科の岡田定先生のお話によると、毎月の生理で「血」が不足して貧血気味になったり、「血」が不足して血の巡りが悪くなり冷え性になったりと、「血」が足りない女性は自覚していない人も含めて日本で1000万人以上いるそうです。
漢方薬は、身体の中に溜まった余分なものを取り除き、身体の中に足りないものを補うことで体質改善ができるのです。
自然の生薬からつくられている漢方薬
何種類、何十種類もの生薬を組み合わせてできるのが漢方薬です。
生薬とは、植物や動物、鉱物、また貝殻など、自然の中に存在する天然の成分を変えることなく、薬として加工し調合したものです。 最も多く利用されているのが植物で、根、茎、葉、花、種子、実など余すことなく利用できるんですよ。貝殻としては牡蠣(カキ)が代表的なもので、生薬にするには左殻のみを焼いて粉砕して使用します。牡蠣はボレイという生薬となって、柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)などに使用されています。漢方名の中にも名前が隠れていますよね。
こうやって生薬をヒモといていくと、西洋薬の合成物に比べて、副作用のリスクも比較的少なく安心して服用できることが理解できます。(※)
私が経験した西洋薬のひとつ、ステロイドでの副作用のお話はこちら
私が経験したステロイド剤も、使い方を間違えず短期間だけ使えば、本当に特効薬のような効果があるので、一概に否定はできません。ただ、ステロイド剤を何ヶ月・何年も使ううちに身体が慣れてしまい、症状が治まらずに悪化し、様々な副作用が発症するといった事例も少なくないので、体質改善で漢方を飲むのも一つの方法だと思います。
※すべての方が、漢方薬の副作用がないとはいえません。
理由がわからない病気にも対応
西洋薬の場合「風邪」や「頭痛」など必ず診断をする病名が必要で、その病名に対して医薬品を処方します。その病気の原因を一気に取り除く西洋薬は劇的に効くこともありますが、逆に診断を誤れば激しい副作用を起こすこともあるので注意が必要です。しかし、難病や原因不明で診断のつかない病気もあるのも現実です。病気と診断されない症状や、原因が分からない病気にも、漢方薬は体質改善として治療が可能になるんですよ!
漢方薬局の薬剤師の先生のお話
お話しを伺うと、来店の約7割は女性のお客様、そのうちの約4割は不妊に悩んで相談に来るそうです。それだけ、不妊に悩む人が増えているということなんです。その先生は不妊で漢方相談に来られた方に、まず医療機関を受診されているかを聞くそうです。
すると、不妊で漢方相談に来た方の約7割が、医療機関を受診したと答えたそうです。
不妊治療を受けているけれどなかなか妊娠できなくて、漢方薬局に相談にくるという方の比率は私が想像していた以上に多いものでした。医療機関での不妊治療は基本的に、基礎体温、タイミング法、人工授精、体外受精と進みます。
次のステップに進むには、時間も費用も平行して右肩あがりにかかるものなんです。そして時間の経過とともに、年も重ねて、だんだん妊娠しにくい年齢になっていきます。
基礎体温やタイミング法で妊娠しにくいという方、また医療機関で不妊治療をしている方も、まず漢方で体質改善をしてみてはいかがでしょうか?
不妊で悩んでいる女性におすすめの漢方のご紹介をしたいと思います。
授かり体質になる体づくりの当帰芍薬散
妊活中で基礎体温を計ったり、タイミング法を試していてもなかなか妊娠しない方は、身体の芯が冷えているのかもしれません。女性の多くが冷えを感じて、大半の女性が実際に冷えで悩んでいるんですよ。現代の女性に多い冷えとして、四肢末端冷え症がありますが手足の末端まで血流が届かない症状です。身体の中で熱を十分につくれず、その熱をうまく全身に運べないことが原因。熱が作れない原因には、食事での摂取カロリー不足、基礎体温の低下、運動不足などが挙げられます。体温の低下は血の巡りが悪くなり、手足が冷えるだけでなく、子宮まで冷えてしまうんです!妊娠を望む女性にとって、冷えは本当に邪魔者。
冷えをなくすためには、食事の量を増やして、もっと熱をつくること。食事内容もただ単に増やすだけでなく、栄養価の高いタンパク質を増やして、ウォーキングなどの軽い運動を心がけましょう。そうすることで筋肉で熱がつくられ、血流が良くなり、冷えの改善につながります。
また、その手助けとして、漢方では「当帰芍薬散」が妊娠につながる漢方として医療機関でも処方されています。妊娠に良くないと言われている冷え、貧血、むくみに効果があり、かつホルモンバランスを整えるので、月経不順、生理痛、PMS(月経前症候群)にも効果があります。その有効性は「産婦人科の三大漢方薬」と言われるほどで、女性特有の悩みの症状には特に効果があります。このように漢方は、治療と同時に体質を改善して、人工授精や体外受精といった妊娠方法よりも、自然に妊娠に向かう身体づくりをしてくれるんですよ!
妊娠しやすい身体をつくる漢方薬
いかがでしたか?
病院に行くのはためらうけれど、一歩前に踏み出すきっかけとして、「漢方」があなたの身体の体質改善をして、妊娠しやすい身体を作ってくれる手助けになると期待しています。
「当帰芍薬散」はすべての女性にとって良いことづくしの漢方薬なので、悩んでいる方は是非試してみるといいですね。