食べ物には体を冷やすものと、温めるものがあります。冷え性は外から温めるだけでなく、温かいものを食べたり飲んだりすることも大切です。体を温める食材と冷やす食材を知って、賢く温活をしましょう!
この記事の目次
体の冷えは飲み物や食べ物が大きく影響しています
食べ物や飲み物など、口から入ってくる冷えも注意が必要です。
体の冷えは外からの影響だけでなく、体の内側の冷えが原因の場合も少なくありません。暑い時期に冷房の効いた室内で冷たい飲み物や食べ物を口にしていると、内臓も冷えてしまいます。最近はコンビニや自動販売機で簡単に冷たい飲み物が買えますが、暑いからと冷たいものばかり飲んだりするのは胃などの消化器官に負担を増やしてしまうのです。
食べ物の「温」「寒」を知ることは冷えを防ぐ基本です
温かい食べ物だから、体を温める食材・・・冷たい食べ物だから、体を冷やす食材・・・だとは限りません。食べ物にも「温」・「寒」の2種類があると考えます。陰性のものには、体を冷やす作用があり、陽性のものには体を温める作用があります。漢方では冷やす食物を「陰性」、温める食物を「陽性」と呼んでいます。
体を温める食べ物と体を冷やす食べ物
体を温める食材 | 体を冷やす食材 |
色が濃い | 色が薄い、白い |
水分が少ない | 水分が多い |
寒い時にとれる 野菜・フルーツ |
暑い時にとれる 野菜・フルーツ |
土の中で育つ | |
塩分が多い | |
スパイス・薬味 |
色で区別する
色が濃い食材は体を温めて、色が薄い、白い食材は体を冷やす作用があります。
色が濃い食べ物
赤身の肉や鮭、かぼちゃやにんじんなどの緑黄色野菜、未精製の穀物、納豆、黒ごま、キムチなど
色が薄い・白い食べ物
大根、タケノコ、もやし、牛乳、白砂糖、白米、小麦粉でできたパン、パスタ、ケーキなど
水分量で区別する
水分が少ない食材は体を温めて、水分が多い食材は体を冷やします。
水分が少ない食べ物
チーズ、海藻、卵、ドライフルーツなど
水分が多い食べ物
バナナ、すいか、メロン、きゅうり、トマトなど
育つ環境の温度で区別する
寒い時や寒い土地で採れた食材は体を温めて、暑い時や暑い土地で採れた食材は体を冷やします。
寒い時(土地)や寒い土地で採れた体を温める陽性の野菜
にんじん、たまねぎ、かぶ、ゴボウなどの根菜類、イモ類、かぼちゃ、ネギ、ニンニクなど
暑い時(土地)や暑い土地で採れた体を冷やす陰性の野菜
キュウリ、トマト、ナス、レタス、キャベツ、セロリ、ほうれん草、小松菜など
野菜は土の中で育つか、土の上で育つかで体を温める野菜か、体を冷やす野菜か区別することができます。土の中で育つ根菜類(たまねぎ・にんじん・じゃがいも等)は体を温める野菜で、土の上で育つ野菜(トマト・きゅうり・ナス等)は、体を冷やす野菜となります。
寒い時や寒い土地で採れた体を温める陽性のフルーツ
りんご・ぶとう・さくらんぼ・オレンジ・いちじく・あんず・桃・プルーン、イチゴ、桃、プルーンなど
暑い時や暑い土地で採れた体を冷やす陰性のフルーツ
バナナ、パイナップル、すいか、みかん、レモン、柿、梨、マンゴー、レモン、グレープフルーツ・柿・キウイ・メロン・梨など
発酵しているかどうか区別する
発酵している食材は体を温めて、発酵していない食材は体を冷やします。
発酵していると体を温める食べ物と調味料
納豆、チーズ、塩、黒糖、味噌、醤油、ラー油
発酵していなくて体を冷やす食べ物と調味料
牛乳、白砂糖、酢、マヨネーズ、ドレッシング
お茶も「寒・温」を意識して飲みましょう
飲み物は温かくして飲むからといって、体が温まるわけではありません。製造過程で発酵しているか、発酵していないかで区別することができるのです。発酵させた飲み物は、体を温める作用があり、発酵せずにできた飲み物は、体を冷やす作用があります。
ウーロン茶や紅茶は製造過程で発酵するので、体を温める「温」の飲み物。逆に緑茶は発酵せずに作るため、体を冷やします。緑茶も急須で熱々のお茶を淹れると体が温まるイメージがありますが、実は「寒」の飲み物で不発酵茶となります。緑茶とその作用を利点として熱のある時に飲むと熱が下がるといわれます。「温」の飲み物のウーロン茶や紅茶を冷やして飲んでは、せっかくの「温」の効果がなくなってしまいます。冷え性気味であれば、ヤケドしない程度の熱いお茶を飲みましょう。
またコーヒーも発酵していない飲み物です。暑い気候の土地で栽培をしているので、どうしても体を冷やしてしまう特性があらわれてきます。一方、たくさん飲むと利尿作用の影響で体の熱は奪われてしまいます。また過剰なカフェインの影響で血行が良くなるものの、自律神経が乱れて体を冷やす原因となってしまうのです。
発酵してできた飲み物
ウーロン茶、紅茶、ほうじ茶、日本酒、紹興酒
発酵しない寒涼食の飲み物
緑茶、コーヒー
ゴボウ茶、たんぽぽ茶、たんぽぽコーヒー
たんぽぽの根を使ったたんぽぽ茶やたんぽぽコーヒー、ゴボウ茶は土の中で育ったものから作られた飲み物です。
ショウガ湯・ショウガ紅茶
からだを温める効果のあるショウガに含まれるショウガオールという成分は、ショウガを温めると出てくる成分です。
ココア・黒豆茶・赤ワイン
飲み物に含まれているポリフェノールが、血管拡張作用によって、血の巡りを良くして体を温めます。
百害あって一利なしの「白砂糖」
砂糖の原料となるさとうきびは、特別に暑い土地に育ちます。南国産の野菜や果物は、身体を冷やす働きがあるので、さとうきびを精製して作る砂糖は、特に体を冷やすことで有名な調味料です。
甘い物が欲しい時は、疲れていて胃の調子が落ちて弱っている状態の時です。砂糖は消化・吸収が早く、すぐエネルギーに変わって熱を作るのが早いのが特徴です。疲れるとすぐ甘いものがほしくなる人、舌の中央に白いコケがついている人は、砂糖のとりすぎです。甘い物には薬物と同じような依存性があるので、身体の冷えに注意しながら、なるべく少量で済ませましょう。
そして精製した白砂糖は、ミネラルやビタミンを含まず、体を冷やします。同じ砂糖でも、白砂糖と比べて、お値段は少し高額になりますが、きび砂糖や黒糖、てんさい糖は、ミネラルやビタミンが含まれているので、栄養価のある砂糖となります。砂糖といっても、色々な種類があって、栄養素も味も違います。ここで代表的な砂糖をご紹介します。
三温糖
上白糖を取り出して残ったものを、何度も加熱して液状にしたもので、砂糖が焦げたカラメル部分によって茶色になったものです。三温糖の名前は「三度加熱して作られる」行程から付けられたのが由来で、体を温める「温」ではありません。茶色いから健康にいい、とか、てんさい糖に色が似ているから、ではなく白砂糖とまったく同じでミネラルやビタミンはまったく含まれていません。
またスーパーなどで売られている三温糖は、白砂糖にカラメル色素で色づけしたもので、本物の三温糖ではないものも売られているので、注意が必要です。
三温糖であれば、原材料として「粗糖」や「糖蜜」などが書かれているので確認してみましょう。
きび砂糖
栄養価の高さでは黒糖のほうが優位ですが、ある程度のミネラルが残っていてクセがないので、上白糖や三温糖の代わりに使いやすく、上白糖に慣れ親しんだ日本人には比較的使いやすい味です。
てんさい糖よりもカリウム・カルシウム・リンなどのミネラルを多く含んでいて、味にコクがあるため、煮物などに使いやすいです。また黒糖よりもあっさりした味なので、黒糖の風味が苦手な人にも使いやすい砂糖となっています。
黒糖
サトウキビを絞ってそのまま煮詰めただけのものが黒砂糖です。不純物以外は全く精製されていないので、ミネラルがとても豊富で、濃厚な味と香りが独特なものがあります。栄養がとてもあって、特にカルシウム・鉄分・カリウム・リンの含有量は砂糖の中でもダントツです。
またミネラル以外に、ビタミンやタンパク質も含まれていますが、カロリーはきび砂糖やてんさい糖に比べて最も低い優れものです。
てんさい糖
原料は砂糖大根やビートと呼ばれる野菜で、国内ではほとんどが北海道で生産されています。見た目は大根やカブのような形のその野菜は、ほうれん草の一種です。白い根っこ部分を粉砕して煮出すことで、甘み成分を抽出します。ミネラル成分はきび糖や黒糖に比べて少ないですが、オリゴ糖が含まれているのが大きな特徴です。オリゴ糖は腸内の善玉菌のエサとなる栄養素で、便秘の改善など腸内環境を整えてくれます。便秘、軟便など腸内環境が気になる方におすすめの砂糖です。
おやつには、さつまいもや栗がおすすめです
さつまいも、くり、かぼちゃは冷え症や貧血の人向けのおやつです。
ケーキやチョコレート、アイスクリームなどには、白砂糖がたくさん使われています。これはケーキ作りのレシピを見てもよく分かります。そして洋菓子は和菓子に比べて、驚くほどの量の砂糖を使います。砂糖は体を冷やす陰性の代表。冷え性の方にはおすすめできない食品です。どうしてもおやつを食べたい時は、さつまいもはいかがでしょう。
さつまいもは、胃をはじめとする消化器を丈夫にして、体力がついて、血行を促進することから、冷え性や貧血にも効果的、というわけです。同じような効果がある食べ物としては、栗やかぼちゃもおすすめです。
このような食べ物は、体の基本が作られる幼児期から、積極的に取り入れたいものですね。自然な甘みがあるので、蒸かしたり、焼いたりして常備しておきましょう。スナック菓子を食べるよりよっぽど優れたおやつになります。
農薬を使ったものや、添加物入りの食べ物など人工的なものは、最も陰性の強い食品となります。
温める食材と冷やす食材を見分けられるようになる
一年中さまざまな食材が手に入り、暑い時期に熱を出すような食材や、寒い季節に体を冷やすような食材を食べていることも多いようです。基本は旬の食材で体に負担のないものですね。
また、暑い時期でも冷房の効いた室内では温かいものを飲み、目覚めたときや眠る前の水分補給も温かいものがおすすめです。出先であれば、最近ではコンビニでも、冷え性の人向けに常温の飲料も売られています。コンビニは冬場でも温かい食事を提供しているので、体を温める食べ物、飲み物を買うには買いやすい環境にありますね。
現代人は、どうしても体が陰性に傾きやすく、冷えを強める傾向にありますので、陽性のものをとって体を温める必要があります。とはいっても、陰性のものを悪として全く食べなかったり、陽性のものは良だからと、それだけを大量に食べる、というのも間違いです。
良いものばかりを食べていると、悪いものに対する抵抗力が失われてしまいます。体を温めるものを中心にして、冷やすものを少しだけ加えて食べる、という食事を心がけましょう。その意味で、寒冷のバランスをとりながら、陰と陽の食材をアツアツにして一緒に食べる鍋物や煮込み料理などは、温かさも栄養バランスも両方兼ね備えられた温活にはおすすめの食べ方ですね。冷え性改善に、まず食事を見直してみましょう。